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現在はこうして紹介させてもらいたくなる程、お気に入りとなったこの"IN
UTERO"(イン・ユーテロ)ですが、正直、はじめは馴染めませんでした。全く。長年聴き親しんできたロック音楽と余りに耳触りが異なり。
やり場の無い怒りや不満といった、ロック音楽らしい鋭角な感情は伝わってくるし、苦悩をぶちまける負のエナジーの炸裂も、ノイジーなギター・サウンドにのり放射されてくるのですが、全てが、倦怠と退廃の霧に薄っすら包まれ、何やらドンヨリしている。しかも妙に生々しい。駄目でした。内省的な詞は、文学やプログレッシブ・ロックの世界では普通なので左程違和感はありませでしたが、体臭のように滲み出るデカダンスなにほいに、私の中の危うい部分が敏感に反応し、危険を察知。強い拒絶を生んでいました。≒4年前に我が町の図書館で借りPCに取り込んだのですが、最初に聴いて以来殆ど聴くことはありませんでした。
ところが、昨年末、大分と聴き易い前作"NEVERMIND"(カート・コバーンは嫌っていたとも聞くけれど)を隣町の図書館に発見し拝聴したならば、'60・'70年代ロック直系、パンク経由、ハード・ロック好きだけどメタルは嫌い、と言ったそのサウンドは、「メタルは嫌い」と言う部分を除き、大部分が私の好みと一致し、すっかりお気に入りに。そうして後、改めてこの作品を聴けば、前作で免疫がついたのか、驚くほどにすんなりと入って来る。そうして聴くうち、アルバムに満ちる怒り、不満、苦悩は、バンドの中心カート・コバーン(vo,g)の生への渇望であり、倦怠と退廃と感じられたものは、裏腹に彼の生への深い諦念だったのかもしれない、と彼の後の運命と照らし合わせると思えても来、当初抱いていた嫌悪感は霧消しました。
この作品を見るとき、モーツァルト(1756-1791)やシューベルト(1797-1828)の最晩年の作品を見るとき同様、産み出した者の後の運命、これはどうしても視野に入り、それ越しに作品を透かし見ることを避け得ないので、純粋に音楽的に受け止めるのが難しいのですが、でもしかし、その辺りを離れ、虚心を持って聴けば、カート・コバーンは本当に表現力豊かで懐の深い良いヴォーカリストであり優れたソング・ライターであったんだなぁ、バンドも骨太でキレも有る良いバンド(クリス・ノヴォセリック(b)、デイヴ・グロール(ds)(当時))だったんだなぁ、と当時メタル小僧で、グランジ・オルタナなんぞ全く知らなかったおっさんは、単純に、今そうも思うのです。
「イン・ユーテロ」について書いたついでと言っては、言葉が悪いかもしれませんが、ニルヴァーナ及びその周辺のアーティストに関しても、一寸書かせて下さい。
上に、この作品を聴いた当初の私の拒絶反応について書きましたが、その反応は、当作だけに対するものではありませんでした。これ以外にも、スリップノットやマリリン・マンソン、またナイン・インチ・ネイルズ等1990年代以降のアメリカンなヘヴィ・ミュージックを聴いた場合も似たような状態となりました(RATMは別)。それら作品に共通する暗さ、私の好きな欧州系ヘヴィ・ミュージックの持つ暗さとは一寸質の異なる、底の知れない粘着質の暗さと、そこはかとなく漂う倦怠と退廃のドンヨリ感は、私が以前から知り、親しんでいた何処か楽天的で自信と力強さに溢れた'70・'80年代のアメリカン・ヘヴィ・ミュージックとは全く異なるもので、戸惑いました。病めるアメリカの病巣或いは闇を眼前に押し付けられているようで、なかなか親しめませんでした。
併し、ニルヴァーナを受け入れられる様になると同時に、これ等アーティストに対する親しめない感覚も拒絶感も消えました。
昔から欧州系ロックに嗜好が偏る私は、元々HR/HM系以外アメリカのロック・アーティストには余り馴染みがないのですが、今のヘヴィ・ミュージックを知るには、矢張りモダンなアメリカン・ヘヴィ作品も聴かなければと、これを機会に上記アーティストを改めて聴き直すと同時に、未聴だったパール・ジャムやコーン(コーンのドンヨリ感は格別...)等、利用可能図書館に有る作品を、聴き込むようになりました。そうしている内、そういえばこのドンヨリ感、随分前にも聴いていた様な気がするな...何だ...?、と思いはじめました。なかなか思い出せず梃子摺(てこず)ったのですが、彼(あれ)や是(これ)やと記憶の綱を手繰り寄せているうち、行き当たりました。そう、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。
彼らが代表する、ウェストコースト・ロックだけでなく、ロックそのもの、ひいてはアメリカの、甘美で華やかなドリームの終わりを告げた作品として解されるこの1976年リリース(ホント随分前だ)の一品。この名曲の、気だるいレゲエのリズムにのる物憂げなヴォーカルが、‘受け入れるのが運命だ。何時でもチェックアウトできるけれど、決してここを離れることはできない’と歌った後に続く、ツイン・ギターのソロの交錯(こうさく)。この終わりの無い混沌から生まれ出た、凋落と退廃が染み渡り、夢の終焉が始まったのでしょうか。
三十数年前の「ホテル・カリフォルニア」に、1990年代以降のアメリカン・ヘヴィ・ミュージックの遠い根(或いは予告)を見るなど見当違いかもしれませんが、私には、富の亡者となり魂(スピリット)を失ったロック音楽(産業)或いは社会に対する諦めにも似た深い幻滅と、深い疲労感が両者に低通しているように感じられました。幻影でしょうか...?
"IN
UTERO"。タイトルの意は、「子宮の内に」。カートの願いそのものだった様にも思えます。彼を煩(わずら)わす全てのものを離れ、羊水の海洋でまどろんでいたいという。
最後に残されたこの作品タイトルと、七ヶ月後の彼の運命を、バンド名と重ね合わせ、暗示的と見るのは、余りきれいに纏めすぎでしょうか。
'12
2/4
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お気に入り度:♭♭ ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔ニルヴァーナは1987年アメリカ、ワシントン州で結成。1991年2ndアルバム「ネヴァーマインド」が大ヒット(総売上は2011年時点で2,600万枚以上とか)、グランジのヒーローとなる。1994年4月のカート・コバーン(「コベイン」が正確とか)の自死を受け活動停止。カートは双極性障害(以前は躁鬱病と呼ばれていた)と薬物中毒で苦しんでいた。因みに、構想段階での本作タイトルは"I
Hate Myself and I Want to Die"(私は私を憎む。私は死にたい)だったそうです。 official〕
*Nirvana(ニルヴァーナ.サンスクリットで「吹き消す、吹き消された」の意):仏教語で涅槃(ねはん)。理想とする悟りの境地。煩悩の火が吹き消され、一切の迷い、苦悩、束縛を離れ開放された安らぎの境地。転じて死(特にブッダ(釈迦)の)を表す
*メタルは嫌い:彼らがメタル嫌いだったのかどうか知りませんが、ハード・ロック色が濃い割りに私にはメタル色が感じられず、そうなのかな?と思うのです
*グランジ(Grunge):1990年代音楽界を席巻したロックの一ジャンル。ニルヴァーナ、パール・ジャムなどが代表。商業性など全否定するような汚い格好と内省的で暗い詞、また荒々しいサウンドなどが特徴。”グランジ”は「汚いもの」と言った意味。一般にオルタナティヴ・ロックの範疇とされる
*オルタナティヴ・ロック(Alternative
Rock):商業主義的な既存ロック音楽への反動として生まれた音楽。
”オルタナティヴ”は「代替物、他の一方」と言った意味。アンダーグラウンドな性格を持つ。オルタナとも
*イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」:1976年12月発表(当時はパンク・ムーヴメント真っ只中.同年にセックス・ピストルズ(11月)やザ・クラッシュが結成されている)。アメリカン・ロックの代表的バンド、イーグルスの最高傑作アルバムのタイトル・ナンバー。当時日本でも大ヒット。美しいメロディーと暗喩に富む物語的な詞が特徴。歌詞は様々な解釈を生み話題になる。この曲を含めアルバム全体に斜陽感が漂っている
*スリップノット:アメリカ合衆国アイオア州出身の9人組ヘヴィ・ロック・バンド。'95年結成。メタル色は強いがサンプラーやパーカッションも入り単純には括れない独自の音楽性を持つ。メンバー各自日本人アーティスト製作のマスクを被っている
*マリリン・マンソン:アメリカ合衆国のロック・アーティスト。本名ブライアン・ヒュー・ワーナー。「マリリン・マンソン」はバンド名でもある。独自の世界観(特に反キリスト教のイメージは強い)を持ちカリスマ的存在
*ナイン・インチ・ネイルズ:トレント・レズナーを中心とするインダストリアル(工業的)・ロック・バンド(電子的加工を多用したスタイル)。暗鬱でノイジーなサウンドはピンク・フロイド的な内省的性格も持ち存在感は圧倒的。マリリン・マンソンの初期作品をプロデュースしている
*パール・ジャム:ワシントン州シアトル出身。ニルヴァーナと共にグランジ・ロックの代表的存在。サウンドは大分骨太で土臭い伝統的アメリカン・ロックの匂いが強く私的にはドンヨリ感は比較的薄い
*コーン:カリフォルニア出身のヘヴィ・ロック・バンド。ヴォーカルのジョナサン・デイヴィスのダークな世界観が強く出、音のみならずオーラがヘヴィ。ヒップ・ホップ的要素を取り入れるなど1990年代以降のヘヴィ・ロックの先駆け的存在
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・緊急災害時動物救援本部 http://doubutsukyuen.org/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・東日本大震災東京都動物救援本部
http://www.tokyo-doubutsukyuen.org/
・Google
Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る)
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